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光ファイバ接続基礎講座(1)

光ファイバ接続基礎講座(1)

出典:「知っておきたい光ファイバケーブルの接続(電気と工事2003年2月号)」

(1)光ファイバ接続のポイント1:軸合わせ

メタル線は電気を流す媒体なので電気的に接触させることが接続のポイントと言えます。一方光ファイバは光を流す媒体なので、光ファイバの端面同士の位置合わせがポイントとなります。

[図1]にファイバ端面の軸ずれと光接続損失の関係を示します。光接続損失とは、メタル線で言えば接触により生ずる電気抵抗値に相当し、この損失が小さく安定している程、光を遠くまで伝送できることになり、良い接続と言えます。光ファイバには大別して2種類あり、高速情報通信ネットワーク等で現在最もポピュラーに使用されているのが伝送容量の大きいSM(シングルモード)ファイバで、光の通り道であるコアに相当するMFD(モードフィールド径)の大きさがø0.01mm(10μm)と小さく、わずか0.001mm(1μm)の軸ずれでも0.2dBの光接続損失を生じます。伝送容量をあまり大きくする必要のないLAN(ローカル・エリア・ネットワーク)等ではGIファイバに代表されるMM(マルチモード)ファイバが使用され、光の通り道であるコアの大きさがø0.05mm(50μm)もしくはø0.0625mm(62.5μm)と大きく。

[図1]に示すとおりSMファイバに比べ光接続損失の軸ずれに対する許容度は大きくなりますが、0.0035mm(3.5μm)を超える軸ずれがあると0.2dBを超える光損失を生じます。このように接続する互いの光ファイバ端面をミクロン(0.001mm)オーダの精度で軸合わせすることが光ファイバ接続の難しさの一つです。

接続時の軸ずれと光接続損失

(2)光ファイバ接続のポイント2:角度合わせ

[図2]にSMファイバ端面同士の角度ずれと光接続損失との関係を示します。MFDの大きさに多少依存しますが、正対するファイバの角度が1°ずれると0.4dB程度の光接続損失となります。

SMファイバ接続時の角度ずれの影響

(3)光ファイバ接続のポイント3:反射防止

[図3]にSMファイバ端面間隔と光接続損失との関係を示します。ご覧のように、接続時に隙間即ち非接触であっても光は通過できる点がメタル線の接続と違います。例えば0.02mm(20μm)の隙間があっても光接続損失は0.1dBもありません。これは上述の軸合わせや角度合わせの難しさに比べ許容度が大きい。一方、光伝送では、反射特性が要求されます。

[図4]に示すように接続端面に間隙がある場合、間隙の空気中で接続された光ファイバ端面の屈折率の違いから光が反射します。光ファイバ端面が直角で鏡面の場合は元の光ファイバに戻る反射が最大となり、フレネル反射と呼ばれます。その反射減衰量は-14.7dBとなります。この反射減衰量が大きいと光伝送用の光源側に跳ね返ることとなり、各種障害の元となります。

SMファイバ接続時の端面間隔ずれの影響
接続端面すき間での反射

(4)コネクタ接続法

メタル線用コネクタと同様に、光ファイバ用のコネクタが既に製品化されており、光ファイバ1心同士を接続する単心型と、多心ファイバを一括して接続する多心型があります。JISで規格化されたものを含め、代表的なコネクタを[表1]に示します。位置合わせ方法から大別すると単心型はスリーブかん合方式が多く、多心型はピンかん合方式です。

代表的なコネクタ

[図5]に示すように、スリーブかん合方式は、円筒フェルールの中心に接続する光ファイバを各々予め位置決め固定しておき、接続時に互いの円筒フェルールをスリーブ内で突合せます。 スリーブ断面がC型の割スリーブで、バネ性を有しており、対向するフェルールの円筒同士をバネで自然と押さえ込むことで、軸合わせと角度合わせを容易に実現できます。 円筒フェルールの中心に光ファイバを位置決めするために、光ファイバ径ø0.125mmよりわずか0.5μm程度大きい穴にファイバを通して接着しています。 円筒フェルールの多くはジルコニヤと呼ばれるセラミックス製で、線膨張係数が光ファイバとほぼ同じなため、コネクタの使用及び保存環境下の温度変化でもファイバに熱応力の負荷を与えず、安定しています。 また、円筒フェルール端面を光ファイバと一緒にきれいに研磨できる特徴があります。

スリープかん合方式

[表2]に示すように研磨にもいろいろな種類があり、主として反射防止のための反射減衰量に依存しています。PC研磨は凸レンズ状に円筒フェルールの端面を形成する研磨で、接続時に互いの端面の凸部を押し付けることより、ファイバ間隙を無くして反射防止しています。SPC研磨やAdPC研磨、更にはUPC研摩とその研磨技術を改良して反射減衰量を小さくしています。APC研磨は8°斜めに研磨することで、反射光が元のファイバに戻れないようにすることで反射減衰量-60dB以下を実現しています。

フェルールの研磨方法

[図6]に示すように、ピンかん合方式は、MTフェルールを使用します。MTフェルールはガラス等で強化したプラスチック製で、端面から見て両サイドにかん合ピン用のø0.7mmの穴を有しており、その穴と穴の間の各々予めサブミクロンオーダで位置決めされたファイバ穴に、接続する多心ファイバを接着固定しています。 接続時には2本のかん合ピンをお互いのMTフェルールが共有して突合せることで、軸合わせと角度合わせを容易に実現できます。

[表2]に示すように、MTコネクタではコネクタ端面にコアと同じ屈折率をもつ整合剤を付与して、間隙をその整合剤で埋めることで反射防止しています。 MT-RJコネクタでは、ファイバ同士を直接突き当てることで反射防止しています。MPOコネクタでは、MTフェルール端面を8°斜め研磨して正逆で接合する方法で反射防止しています。

ピンかん合方式

(5)OTDRによる接続評価

光接続損失を測定するには、OTDR(光パルス試験器)と呼ばれる測定器を用いることが一般的です。光ファイバの片端から光パルスを送信し、光ファイバ内部の後方散乱光を受信してその波形から光接続損失を測定する方法です。 光ファイバは固有の後方散乱係数を持っています。

[図7]は後方散乱係数の小さい光ファイバAと後方散乱係数の大きい光ファイバBを接続した場合です。光ファイバAから測定した正方向の波形をみると、接続部では後方散乱係数の差分の+CdBが段差となり、光接続損失分が−χdBとなります。従い、実波形の段差はC−χdBとなります。 一方光ファイバBから測定した逆方向の波形は後方散乱係数の差分は逆に−CdBが段差となり、更に光接続損失分が−χdBとなります。 従い、実波形の段差は−(C+χ)dBとなります。光接続損失は、正逆の二方向でその接続点の段差を測定し、正逆の段差を平均することで求めらます。 注意点としては、この場合正方向のみの一方向でOTDR測定して、段差=光接続損失と誤解し、光接続損失が負になるとか、あるいは、この逆方向のみの一方向でOTDR測定し、光接続損失が高過ぎると考え、再度接続し直すことは間違いであるので注意して下さい。

OTDRでの光接続損失測定

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